社内ベンチャーから

新規事業の進め方・プロセスを知る│busi"C"essメディア » 【スタートフェーズ別】 進め方のポイントは? » 社内ベンチャーから
INDEX
目次

新規事業が社内ベンチャー起点で発足した場合のメリット、課題とその解決策を解説しています。

社内ベンチャーのイメージ画像

社内ベンチャーとは?

社内ベンチャーとは、企業の内部において新たな事業を創出するために設けられる独立性の高いプロジェクトや組織形態を指します。既存の事業部とは別に立ち上げられ、企業内起業とも呼ばれます。発案者は多くの場合、現場の社員や中堅管理職であり、経営層からの承認・支援を得て事業化を目指します。

一般的には、母体となる企業の資金や人材、ブランドといった経営資源を活用しつつも、実験的・挑戦的なビジネスに取り組む点が特徴です。特定の領域における技術革新、新市場の開拓、あるいは既存事業とは異なる価値提供を志向し、一定の裁量権とスピード感をもって進められます。

ベンチャー精神を持った社員が組織内からイノベーションを生み出す仕組みとして、近年多くの大手企業が制度化を進めており、経営戦略の一環として注目が高まっています。

社内ベンチャーの目的

社内ベンチャー制度を導入する最大の目的は、企業内部からのイノベーションを継続的に創出し、競争優位を確立することにあります。変化の激しい市場環境において、既存事業の延長線上では対応しきれない課題や新たな顧客ニーズが急速に生まれており、社内の人材や資産を活かして柔軟に対応できる仕組みが求められています。

この制度は、社外ベンチャーへの投資やM&Aと比べ、社内に蓄積された知識やノウハウを活用できる点で大きなメリットがあります。既存事業と連携可能なシナジーを生み出せるほか、失敗した場合でもノウハウを社内に留めやすく、学習資産として蓄積可能です。

さらに、人材開発という側面においても、将来の経営幹部候補に対する「実戦的な経営経験の場」として機能します。企画立案から事業運営、社内外のステークホルダーとの折衝に至るまで、一定の裁量をもって遂行する中で、判断力・責任感・スピード感を伴う意思決定が鍛えられます。

このように、社内ベンチャーは「企業の持続的成長」と「人材の戦略的育成」を両立させるための重要な仕組みとして、多くの企業で制度化が進んでいます。

社内ベンチャーのメリット

自社内に革新の波をもたらす

社内ベンチャーを立ち上げて新たな道を切り開くことは、企業にとって前向きかつ革新的な取り組みです。革新的な事業への取り組みは社内の風通しを良くし、人材の新たな可能性を引き出すことができます。また、既存事業に従事していた従業員のモチベーション向上にもつながります。

必要なリソースが揃っていることで
発展しやすい

社内ベンチャーの事業は、企業の豊富な資金やノウハウなどのリソースを活用できるため、ゼロから始めるよりも事業に着手しやすいです。また、必要なリソースが整っていることで、挑戦的なアイデアやミッションを実現しやすく、資金繰りに苦労せずに飛躍的な発展が期待できます。

信用度が高い

ゼロから起業するベンチャー企業やスタートアップは、実績がないため社会的信用度を得るのが難しいことがあります。しかし、社内ベンチャーは親会社のネームバリューを背景に持つことで、社会的信用度が高まり、取引先の開拓や融資において有利になります。

人材の成長促進

社内ベンチャーのメンバーになることで、既存事業の部署では発見されなかった新たな才能を引き出す可能性があります。新たな事業に挑戦し、さまざまな経験を積むことは、人材の急激な成長やモチベーションの向上につながり、最終的には企業への定着率の増加も期待できるでしょう。

社内ベンチャーのデメリット

競合他社に追随するスピードが必要

社外で立ち上がるベンチャー企業やスタートアップ、とくにスタートアップは革新的な事業を展開し、急速な成長を目指しています。社内ベンチャーが新しい事業に挑戦する場合、競合するスタートアップの動きについていけないと、競争に負けるリスクがあります。そのため、迅速な成長が求められます。

自社の後ろ盾があるため
モチベーションの維持が難しい

起業に失敗すると再起が難しいベンチャー企業やスタートアップと異なり、社内ベンチャーは失敗しても大元の企業に戻ることが可能です。

この自社の後ろ盾があることが悪い意味での安心感を与え、競合するベンチャー企業やスタートアップのような高いモチベーションを維持しにくい側面があります。

自社の意思決定に従う必要がある

ベンチャー企業やスタートアップは、小規模であるため新規事業の施策において柔軟性を活用できます。

しかし、社内ベンチャーは基本的に大元の企業の管理下に置かれるため、意思決定を上層部に委ねることが必要になる場合も。この結果、動きが取りにくくなることがあります。

社内ベンチャーで新規事業を軌道に乗せるポイント

社内ベンチャーの新規事業立ち上げイメージ

自社リソースの有効活用

企業は社内ベンチャーに対して、自社の資金やノウハウなどのリソースを積極的に提供し、事業に有効活用させる仕組みを確立する必要があります。リスクを恐れてリソースの提供を控えると、新たな事業の成長を効果的に後押しすることが難しくなります

チームでの検証体制の確立

社内ベンチャーのメンバーを一つのチームとして、新規事業における戦略立案、検証、問題点の抽出を繰り返し行う体制を整えます。さまざまな検証を行い、試行錯誤をともに経験することは、チーム内の結束を強化し、人材の成長にもつながります。

独立した仕組みの構築

社内ベンチャーは企業内の一部であるとはいえ、独立した企業としての機能を持つべきです。経営指針を決定する役員制度や経理部門などを独立させることで、事業のスピード感を保ち、事務処理の混乱を防ぎます

ビジョン、ミッションの定義

新規事業を成功させるためには、具体的かつ明確なビジョン、ミッションを設定することが必須です。どのような社会のニーズに応えられるのかを明確にすることで、社員が「何を考えればいいかわからない」状況を避けることができます

社内外の人脈を広げる

社内ベンチャーの利点は、企業の後ろ盾があることです。独立した組織として運営する場合でも、必要時には企業のサポートを積極的に受けることが可能です。さらに、社外の取引先などとの人脈を広げることで、多くの支援を受けながら事業を成功に導けます

失敗の基準を明確にする

社内ベンチャーは企業から独立した組織である一方で、資金などは企業と共有しています。新規事業が思うように展開できず収益が伸びない場合、明確な損失が出ない限り失敗のラインが見えにくいことがあります。

企業経営を圧迫しないためにも、失敗とする基準を設定し、基準に達した場合には速やかに事業を撤退する仕組みを構築することが重要です。

社内ベンチャーの
導入企業事例

サイバーエージェントの事例

サイバーエージェントは、新規事業創出に積極的な社内カルチャーと制度設計が整っていることで知られており、変化の激しいインターネット産業においても成長を続ける原動力となっています。とりわけ象徴的なのが、2006年から実施されている社内会議制度「あした会議」です。

これは、同社の執行役員がそれぞれテーマに応じて社内からメンバー4名を選抜し、チームとして経営に直結する事業提案や組織課題の解決策を年2回提示・競い合うというもので、提案はその場で経営陣が審議・決定します。この場から生まれた代表的な事業には、ゲーム事業で急成長した「Cygames」や「サムザップ」などがあります。

加えて、事業責任者が自らの戦略をプレゼンする「決算戦略説明会」や、企業価値向上と事業撤退判断の基準を明確にした「CAKK制度」、技術・UX起点の提案を促す「CA PoCMOCK CONTEST」など、多層的な制度が整備されています。

提案から実行、評価・撤退判断に至るまで一貫して“戦略思考”と“実行力”を育成するフレームが全社的に組み込まれている点が大きな特徴であり、2023年9月時点でこれまでに創出された累計売上は約3,950億円、営業利益は515億円に上ります(※)。

※参照元:サイバーエージェント公式HP(https://www.cyberagent.co.jp/sustainability/info/detail/id=26070)

リクルートの事例

リクルートでは、1982年から続く社内新規事業提案制度「Ring(旧RING)」を軸に、従業員発の新たな価値創造に取り組んでいます。制度は時代とともにアップデートされ、現在はグループ全社員を対象に、職位や入社年次を問わず自由に応募可能なオープン型の制度として運用されています。

「ゼクシィ」「スタディサプリ」「ホットペッパー」など、生活に根差した人気サービスの多くがこのRingから誕生しており、2024年3月末時点で年間636件もの新規提案が寄せられるなど、企業文化として“自発的挑戦”が根づいた仕組みとなっています。

Ring制度の特徴は、既存事業領域にとらわれず“あらゆる領域の提案を受け入れる点”にあります。最終審査を通過した案件は、事業化を前提に新規事業開発室が支援に入り、4段階の「ステージゲート方式」で予算や人員が段階的に投入される体制が整っています。事業性・収益性・社会性など多面的に検証しながら、PoC(概念実証)とテストマーケティングを経て、本格的なローンチへと進む仕組みです。

また、近年では「Alumy(企業と退職者の関係再構築)」「termhub(法務業務支援)」「Geppo(従業員のコンディション可視化)」など、社会課題への解像度が高い提案も増加しており、単なる事業拡大にとどまらず、“働く・学ぶ・暮らす”を支える未来型サービスの実装という観点で多様な取り組みが生まれています。

※参照元:リクルート公式HP(https://ring.recruit.co.jp/)

博報堂の事例

博報堂DYホールディングスでは、2010年からグループ横断型の新規事業提案・育成制度「AD+VENTURE(アドベンチャー)」を運用しています。この制度は、グループ55社に所属する社員を対象に年1回開催されるビジネスコンペティションで、広告領域にとどまらない広範なテーマでの提案が可能です。

特徴的なのは、「単なるアイデアコンテスト」にとどまらず、選出された案件には最大5,000万円の出資が行われ、事業化を前提に実地での検証・推進が進む点です。また、正社員以外でも応募が可能で、社内の多様な人材が事業創出に関わる道が開かれています。

制度には提案段階を支援する研修「オープンスクール」や、若手層向けの「ヤングエントリースカラーシップ」なども組み込まれており、組織のマンネリ化を防ぎながら、次世代の起業家育成にも注力しています。これまでに「モチアゲ(ファン活動支援)」「しのぶば(オンライン追悼サービス)」などユニークなサービスが誕生し、2020年時点で897件の提案、延べ1,425名が参加しています。

また、AD+VENTUREから生まれた事業の中には、社内で事業化されるケースと法人化されるケースがあり、事業フェーズに応じて“卒業=自走可能な経営単位”として送り出す柔軟な設計思想も際立っています。事業撤退も1つの成果ととらえ、起案者と向き合いながら「納得のある着地」を重視する姿勢は、事業創出と人材育成を一体化させた同社ならではの取り組みといえるでしょう。

※参照元:博報堂公式HP(http://hdy-adventure.com/public/)

ウエルシアの事例

ドラッグストア大手のウエルシア薬局では、2023年に社内ベンチャー制度「ウエルシア・ベンチャー・チャレンジ・プログラム」を創設。従業員から新規事業アイデアを公募し、事業化まで一貫して支援する体制を整えています。第1号事業として採択されたのが、介護タクシーサービス「ウエルタク」です。

ウエルタクは、介護保険が適用されない「ケアタクシー」領域で展開されており、公共交通機関の利用が難しい高齢者や障がいのある方を対象に、通院・買物・外出などあらゆる生活シーンでの移動支援を提供する新サービスです。2025年3月、坂戸市のウエルシア薬局敷地内に営業所を開設し、事業をスタートしました。

制度創設1年目にして、69件の提案から選ばれたこのプロジェクトは、社内のプレゼン選考を経て、経営会議での決議によって正式に子会社化。2024年10月には新会社「ウエルシアケアトランスポート株式会社」が設立され、リフト付き特殊車両や医療・介護の有資格ドライバーによる本格運用が始まりました。

サービスは完全予約制・時間運賃制を採用し、ストレッチャー利用や診察時の付添い、薬の受け取り代行などにも対応。ドラッグストア事業との相乗効果を見据え、今後は訪問調剤や介護事業との連携も計画されています。「地域No.1の健康ステーション実現」を掲げるウエルシアグループのビジョンを体現した、実需と地域性に根ざした社内発イノベーションといえるでしょう。

※参照元:ウエルシア公式ニュースリリース(https://www.welcia-yakkyoku.co.jp/content/fixed/2424/top_pdf/release250319.pdf

三井不動産の事例

三井不動産では、「イノベーション推進本部」のもと、新規事業創出のための社内ベンチャー制度「MAG!C(マジック)」を運用しています。MAG!Cは、社員が事業アイデアをもとに社内で起業し、同社のリソースやノウハウを活用しながら、0→1の立ち上げに取り組める制度であり、既存事業の枠に捉われない新たな価値創出の起点となっています。

実際に事業化されたプロジェクトには、農業のサプライチェーンを変革する「極旬(株式会社GREENCOLLAR)」、遊休地活用型モビリティ空間の「HUBHUB(株式会社ShareTomorrow)」、災害対策訓練サービス「&Resilience(アンドレジリエンス株式会社)」など、多様なテーマが含まれており、生活密着型・地域貢献型のビジネスモデルが数多く誕生しています。

同社では制度単体にとどまらず、スタートアップ共創拠点「31VENTURES」を活用したワークスペース提供や、CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)による出資支援、LINK-Jなどとの連携によるライフサイエンス領域での産官学連携まで、社内外のリソースを統合した総合的な新産業創造エコシステムを展開しています。

柏の葉スマートシティや日本橋ライフサイエンスビル、スタートアップワークスペースTHE E.A.S.T.など、都市開発とイノベーション支援を融合させた“場の提供”に加え、東大・東北大・九州大・お茶の水女子大との共同研究など、産学連携を通じた社会実装も積極的に進められています。三井不動産の社内ベンチャー戦略は、社内起業制度を起点にしながら、社会課題解決と事業成長を両立する先進モデルとして注目されています。

※参照元:三井不動産 イノベーション推進本部|公式サイト(https://www.mitsuifudosan.co.jp/business/organization/innovation/

モノタロウの事例

モノタロウ(MonotaRO)は、住友商事と米グレンジャー社との合弁による社内ベンチャーとして2000年に大阪で創業しました。ターゲットはメーカーなどが使用する工具や作業着、梱包資材といった「間接資材」。通常は軽視されがちなこれらの商材に特化し、「探しやすく、すぐ届く」BtoB ECの構築を目指したことが、事業の原点です。

創業者である瀬戸欣哉氏(現会長)は、商社機能が将来的にインターネットに置き換わる可能性を見越し、「検索こそがECの本質」と捉えてサービスを設計。社内5人からのスタートでしたが、仮説と現実のギャップを埋めながら、FAX注文やチラシ活用、カタログ施策を組み合わせて顧客層を中小企業に転換。51ヵ月目に単月黒字を達成し、以降は年平均20%以上の成長を継続しています。

現在では、取り扱い点数は1,900万点を超え、全国の中小製造業・建設業を中心に780万超の登録会員を抱える巨大ECプラットフォームへと成長。正社員の3分の1以上をエンジニアが占める「自走型組織」を掲げ、小さく試し、すぐに軌道修正する文化を維持し続けています。

また、社長の鈴木雅哉氏が推進する第二の挑戦として、大企業開拓や海外展開(韓国、インド、インドネシア、米国)への投資も強化。AI導入や業務DX支援(例:施工管理アプリ「KANNA」への出資)を通じ、間接資材調達の前後プロセスも巻き込んだエコシステム化を進めています。まさに「EC企業を超える、間接資材インフラ」の構築を志向する稀有なベンチャー発企業です。

※参照元:SMBC日興証券FROGGY|MonotaRO 鈴木社長インタビュー(前編)(https://froggy.smbcnikko.co.jp/46354/
※参照元:SMBC日興証券FROGGY|MonotaRO 鈴木社長インタビュー(後編)(https://froggy.smbcnikko.co.jp/46356/
※参照元:MonotaROとは?|ZOWEB note記事(https://note.com/zoweb/n/n26b4e229a0db

スープストックトーキョーの事例

全国で展開する「Soup Stock Tokyo」は、三菱商事発の社内ベンチャーから誕生したブランドです。創業者の遠山正道氏は「生活に身近な仕事がしたい」と考え、同社の都市開発部門からケンタッキー・フライド・チキンへ出向。そこから着想を得て「一人でスープを飲む女性の姿」に共感し、「スープのある一日」という物語形式の企画書を作成。共感を軸とした飲食店構想を提出したことがきっかけで、1999年にお台場ヴィーナスフォートに1号店が誕生しました。

2000年には三菱商事初の社内ベンチャーとして株式会社スマイルズを設立し、遠山氏が代表に就任。2008年にはMBO(マネジメント・バイアウト)を実施し、スマイルズは完全に独立企業となりました。“スープを売る会社ではなく、共感を軸にライフスタイルを提案する会社”という発想で、スープ専門店というジャンルを再定義しました。

その後スマイルズは、リサイクルショップ「PASS THE BATON」、ネクタイ専門店「giraffe」、ファミリーレストラン「100本のスプーン」など、業界の常識に捉われない店舗業態を次々と展開。また、社内ベンチャー制度による新宿のバー運営や、芸術祭出展作品「檸檬ホテル」の運営支援なども行い、社員が自ら企画・経営を担う仕組みが根付いています。

現在「Soup Stock Tokyo」は分社化され、よりブランド特化型の運営へと進化中。企業理念「生活価値の拡充」のもと、“スマイルズが手がけるとこうなる”というスタンスで、事業・アート・社会貢献の境界を超えたユニークな経営を展開しています。

※参照元:リクナビNEXTジャーナル|スープストックトーキョー創業者インタビュー(https://next.rikunabi.com/journal/20180903_p01/
※参照元:partner-web.jp|起業家 遠山正道インタビュー(https://partner-web.jp/article/?id=1042

サイバーエージェントの事例

サイバーエージェントでは、「変化に対応した新しい事業を創出し、リスクをチャンスに変える」ことを強みとし、社内ベンチャーや異動制度、評価制度を複合的に連動させた成長エコシステムを確立しています。特に象徴的なのが、執行役員チームによって新規事業を提案・決議する年2回の社内会議「あした会議」です。これまでに累計37社の子会社設立を決定し、売上約4,507億円、営業利益約627億円(2024年9月末時点)の新規事業を生み出してきました。

同社では、評価制度「CAKK(CA企業価値向上会議)」を通じて、各事業をステージ・収益性ごとにJ1〜J5の格付けで管理。さらにベンチャーキャピタル視点で「時価総額」を試算する“JJJ制度”も加わり、撤退基準を明確化しつつ再投資可能な柔軟さを備えています。

また、異動・配置を支える「キャリアエージェント(社内ヘッドハンター組織)」が年間約1,000件の面談を実施し、社員のキャリア志向と事業ニーズのマッチングを支援。「GEPPO」(毎月実施されるキャリア・コンディションアンケート)を通じた適材適所配置や、1年以上の在籍で異動可能となる「キャリチャレ」制度、職場情報を可視化する「キャリバー」「キャリテレ!」など、組織の透明性と人材の自律性を支える仕組みも秀逸です。

新規事業を立ち上げた社員が失敗した場合でも「挑戦した敗者にはセカンドチャンスを。」という文化が根付いており、キャリア再設計の支援が自動的に展開されます。数多くの“復活組”が別部署で再挑戦し、企業全体の底力を支える構造こそ、同社の継続的な高成長の源泉です。

※参照元:サイバーエージェント公式サイト|新規事業創出の文化(https://www.cyberagent.co.jp/sustainability/info/detail/id=26070
※参照元:サイバーエージェント公式サイト|キャリア支援制度(https://www.cyberagent.co.jp/sustainability/info/detail/id=26069
※参照元:東洋経済オンライン|新規事業成功の秘密(https://toyokeizai.net/articles/-/625910

DeNAの事例

DeNAでは、2019年に起業家支援に特化したベンチャーキャピタル「デライト・ベンチャーズ」を立ち上げ、社内外の人材による事業創出・スピンアウトを支援する「ベンチャー・ビルダー事業」を開始しました。この仕組みでは、社員がDeNAに在籍したまま企画立案・検証・開発を進め、起業時には独立と同時に出資や経営支援が受けられる体制が整えられています。これまでに9社がDeNA社内からスピンアウトを果たし、事業成長へと羽ばたいています

DeNAはこの制度を通じて「永久ベンチャー」を掲げ、自社の知見・資金・人材を一体で提供。シード期を中心にファンド規模100億円で出資するだけでなく、プロダクト開発やマーケティングにもエンジニア・デザイナーが伴走するベンチャービルダー型支援を実現しています。

また、「Springboard制度」では、DeNA社員や社外人材が起業準備期間中にリサーチや資本政策設計、社内外メンターとの壁打ちなどを受けながら独立を模索でき、“事業案を持ち込めば、給与を維持したまま事業立ち上げを試せる”という安全な挑戦環境が特徴です。

これらの取り組みは、DeNAの人材育成思想「人は仕事で育つ」と強く結びついており、非連続な仕事・クロスジョブ(副業制度)・社内異動制度(Open Quest)など、自律的キャリア形成を促す仕組みと相互補完的に機能しています。スタートアップ育成だけでなく、個の才能の解放と企業内外の価値創出を同時に実現する、先進的な社内起業支援モデルです。

※参照元:DeNA公式リリース|ベンチャー・ビルダー事業発表(https://dena.com/jp/news/4498/
※参照元:HRzine|デライト・ベンチャーズと起業支援戦略(https://hrzine.jp/article/detail/3983
※参照元:Eight Career Report|DeNAの人材戦略と育成哲学(https://materials.8card.net/eight-career/reports/20230203-dena/

社内ベンチャーの立ち上げ(設立の流れ)

社内ベンチャーを成功に導くためには、段階的なプロセス設計と、それぞれのフェーズにおける目的設定が重要です。以下は一般的な立ち上げステップの全体像です。

Step1:アイデア創出・課題提起

最初のステップは、事業のタネとなるアイデアや現場起点の課題意識を抽出することです。自由提案型のアイデア募集や、テーマ型のワークショップを活用し、社員の現場知を可視化する環境整備が求められます。

Step2:社内公募・エントリー

提案されたアイデアに対して、社内での公募制度やコンテスト形式を通じて企画エントリーを促進します。ここでは事業構想力や市場理解、収益化モデルの有無などを評価軸とし、初期段階での「構想力と熱意」の見極めが重要です。

Step3:選抜・仮説検証フェーズ

通過企画に対しては、一定期間のリサーチ支援やMVP(最小限の製品)の開発フェーズが設けられます。顧客ヒアリングや業界分析を通じて、仮説と市場のフィット感を検証する工程が成果の分水嶺になります。

Step4:プレゼン・承認審査

中間成果を基に、社内の決裁者(経営層)に対してプレゼンテーションを行い、予算付与や専任体制への移行可否が判断されます。「どこまで本気で投資するか」の意思決定が明確になる場でもあります。

Step5:事業化・実行フェーズ

承認後は、小規模なスモールスタートを経て、本格的なローンチへと移行します。専任チームの立ち上げ、資金管理、KPI設定など、一般事業と同等の経営管理体制が求められます。

プロセス設計における落とし穴に注意

社内ベンチャー制度を導入する際には、制度疲弊や失敗のパターンも想定しておく必要があります。特に初期段階におけるフィードバック不足や、事業化判断の不透明さは、制度そのものへの信頼を損ねる大きな要因となります。

また、短期的成果を過剰に期待しすぎると、検証の柔軟性が失われ、事業の本質的な価値検証が置き去りになる危険性もあります。制度設計にあたっては、評価軸・支援体制・失敗許容度の3点を明確にすることが不可欠です。

SUMMARY
「新規事業の進め方」編集チームより
本業を軸に片手間でやると
うまくいかない

社内ベンチャーがうまくいかない要因は、本業を軸として片手間でやってしまうケースや、ゼロからイチを生み出すノウハウを持っていないことがあります。成功への必勝法はなく、数々の経験を経て共通点を見つけていくしかありません。そうしたポイントを押さえているのが、新規事業をコンサルするような企業でしょう。
新規事業のプロセスに多様なノウハウを持つのが、dotD。創業からわずか5年で50事業ほどの新規事業の立ち上げをサポートし、新規事業のプロセスで躓きやすいポイントを解消するためのツールも作り上げたdotDに、社内ベンチャーで新規事業がスタートした場合のポイントを解説いただきます。

社内ベンチャーの新規事業の進め方をエキスパートが解説

EXPLANATION
出口戦略を練らないと、
ただの「部門」になりうる
株式会社dotD

社内ベンチャーの場合は、出口をしっかり考えておく必要があります。うまくいった場合にその事業をどうするのか。別会社にするのか、リーダーを子会社の社長にするのか、別会社にするタイミングで売却するのかなど。出口のプランがないと、「なんとなく仕事ができなそうな人が集まっている部門」になってしまいがちなので注意が必要です。

監修
株式会社dotD
株式会社dotD

引用元:dotD公式HP(https://dotd-inc.com/ja)

創業わずか5年で
50件以上の案件に携わる、
気鋭のハイブリッド集団
株式会社dotD

新規事業に成功の型はありません。それでも、新規事業のノウハウや経験値があれば、その確率は変わるはずです。dotDは2018年の創業からわずか5年で、50件以上の新規事業の創出に関わっています。
マーケット調査にこだわっており、ユーザーの生の声を徹底分析。そのうえでKPI管理や進捗可視化、ピボット判断など、躓きやすいポイントを網羅的にカバーし、適切なプロセスを組み立てて伴走してくれます。
新規事業づくりの経験から多くの企業が苦戦する要素を導き出し、その要素である「新規事業のプロセス化」「KPI管理」「経営資源の最適化」を実現するための「dotHatch」というプロダクトも開発したほどに、新規事業の「経験値」が高い会社です。

監修
株式会社dotD

2018年の創業からわずか5年で50件以上の新規事業に携わっている気鋭の企業。そこで培った経験やノウハウから新規事業のプロセスに関する課題の解決策、一定の成功パターンを熟知している会社です。