新規事業における「狙い目」とは、自社が強みを発揮しながら競合との差別化を図り、将来的な成長エンジンとなりうる領域のことです。しかし、この狙い目を見つけることは容易ではありません。“誰にでも思いつく”ような狙い目であれば、すでに他社が参入しているはずだからです。
狙い目を見つけるには、直感や思いつきではなく、情報収集や検証を重ねた「戦略的な思考」が不可欠です。
新規事業を立ち上げるとき、多くの人が最初に直面するのが「どの分野に参入すべきか」という悩みです。すでに大きな市場がある分野は競合がひしめき合い、逆に誰も参入していない分野は「そもそも市場が存在しない」リスクを抱えています。
こうした理由から「狙い目」を見つけるのは簡単ではなく、参入領域をどう定めるかが新規事業の成否を分ける大きなポイントになります。
新規事業の成否を分ける鍵は「市場選び」にあります。では、どのような市場が狙い目となりうるのでしょうか。ここでは、共通して見られる4つの条件を紹介します。
まず注目すべきは「需要に対して供給が追いついていない市場」です。いわゆる“需給ギャップ”が存在する領域は、サービスが不足している分だけユーザーの不満も顕在化しており、適切な解決策を提示できれば高確率で支持を得ることができます。
たとえば、高齢化が進む介護業界では「施設が足りない」「スタッフが足りない」といった構造的な不足が課題となっています。こうした領域は、たとえ競合が存在していても、“足りていない”こと自体が新規事業の余地を示しているのです。
新規事業を成功に導くうえで、顧客の“切実な課題”を捉えているかどうかは極めて重要です。とくに「お金を払ってでも解決したい」と思われる課題に対して、有効な解決策を提示できれば、サービスへの対価は自然と発生します。
また、短期的な流行に乗るのではなく、持続的なニーズがある市場かどうかを見極めることも重要です。「将来もニーズが続くか?」という視点を持てば、早期撤退のリスクを抑えることができます。
いわゆる「ブルーオーシャン市場」も狙い目の条件としてしばしば語られます。競合が少なければ価格競争に巻き込まれるリスクも小さく、自社のサービスが目立ちやすくなります。
ただし注意したいのは、「競合がいない」ことが「市場が存在しない」こととイコールである可能性もあるという点です。単に他社が参入を避けているだけかもしれません。そのため、「なぜ競合が少ないのか?」を見極める眼が欠かせません。
最後に最も重要なのが、「自社だからこそ提供できる価値」があるかどうかです。これは、商品やサービスそのものの差別化というよりも、経営資源(技術・人材・ブランド・顧客ネットワークなど)との相性を意味します。
たとえば、既存事業で培った「営業チャネル」や「ユーザー理解」が新事業でも使えるなら、立ち上がりを加速させる武器になります。逆に、強みを全く活かせない新規事業は、リスクが高くなることを理解しておきましょう。
ここでは新規事業の狙い目を発見するための7つのアプローチをご紹介します。どれも再現性があり、社内でのブレストや検討資料にも活用できるものばかりです。
新規事業の狙い目は、すでに自社が持っている事業の「すき間」に隠れていることがあります。たとえば、既存の顧客が口にしていた“要望”の中に、本質的なニーズが眠っているケースは少なくありません。
また、日々の営業活動や受注履歴をあらためて見返すと「なぜこの商品がこの相手に売れたのか?」という、やや意外性のある案件が見つかることもあります。売上のごく一部にすぎない取引だったとしても、その背景に目を向けると、まったく新しい市場ニーズが浮かび上がることもあるのです。
こうした“既存事業の片隅にある違和感”を見逃さず、なぜそれが求められたのか、どのような課題の裏返しだったのかを丁寧に掘り下げていくことで、新規事業の有力なアイデアが見えてきます。
AI、生成AI、VR、ブロックチェーンなど次々と登場する新技術は、それ自体が「狙い目」ではなく“何と組み合わせるか”で価値が決まります。
たとえば、既存業界で紙・電話ベースのやりとりが多い業種に、生成AIを導入して省人化や自動化を促す──。これはよくある「新技術×旧習慣」の掛け合わせによって、狙い目を見つける方法です。技術のトレンドを見るだけでなく「未活用の領域」を探す視点を持ちましょう。
PEST分析の「政治・経済・社会・技術」の観点で外部環境を俯瞰すると狙い目のヒントが見えてきます。
こうした変化点は「市場がまだ対応しきれていない」=「空白がある」ことを意味するため、狙い目となる可能性が高いのです。
自社の業界に閉じこもっていては、新しい発想は生まれにくくなります。むしろ「異業種」だからこそ、新鮮な切り口やニーズが浮かび上がることも多いのです。
たとえば、異業種が集まるオンラインサロンや業界横断のイベント、勉強会、コミュニティに参加してみると、自分たちの「当たり前」が通用しない世界が広がっています。「製造業 × IT」「農業 × エンタメ」「教育 × サブスク」などこれまで接点のなかった領域同士が掛け合わさることで、まったく新しい事業のイメージが見えてくることも珍しくありません。
SNSはリアルタイムで顧客の本音が流れてくる宝庫です。特に注目すべきは以下の「5つの不」。
これらはすべて「お金を払ってでも解決したい課題」の原石です。X(旧Twitter)やInstagramでキーワード検索するだけでも、有望なテーマが見えてくることがあります。
海外で注目されているビジネスモデルや急成長しているスタートアップの事例は、新規事業のヒントになるります。特にアメリカや中国、北欧などの先進国では革新的なサービスが次々と生まれています。
しかし、それをそのまま日本市場に持ち込めば成功する──というほど単純な話ではありません。
海外の事例をヒントにする際は「どんな課題にどうアプローチしているか?」という“課題解決の構造”に着目することがポイントです。そのうえで、日本の文化や商習慣、法制度に合わせて日本市場にフィットさせるという視点が重要になります。
アイデアに煮詰まったとき、生成AIを壁打ち相手として使うのも非常に有効です。「こんな技術があるが、どの業界に応用できるか?」「この課題に対して他社はどんな解決策を取っているか?」など、視野を広げる会話が可能になります。
ただし、生成AIは“現場感”や“肌感覚”を持たないため、最終判断には一次情報(顧客ヒアリングなど)との組み合わせが必要です。
アイデアが出てきたら、本当に「狙い目」といえるのかを冷静に検証する必要があります。そのとき役立つのがビジネスフレームワークです。
フレームワークには、自社の内側を見直すもの、外部環境を把握するもの、顧客視点で価値を整理するもの、市場全体で位置づけを確認するものがあります。目的に合わせて使い分けることで、思いつきを戦略的な新規事業アイデアへと磨き上げることができます。
まずは自社や市場の現状を把握します。SWOT分析では自社の強み・弱みと外部の機会・脅威を整理し、活かせるリソースやリスクを明確にします。
3C分析では、自社(Company)・顧客(Customer)・競合(Competitor)の3つの観点から状況を比較します。たとえば、既存の販売チャネルを強みとしつつ「健康志向の高まり」という市場機会を組み合わせれば、差別化の方向性が見えてきます。
次に政治(Policy)・経済(Economy)・社会(Society)・技術(Technology)といった外部環境の変化が追い風になるか逆風になるかを検討します。
たとえば「高齢化の進行」という社会要因や「AIの普及」という技術要因は、将来の事業チャンスを見つけるヒントになります。
自社の強みと外部環境の理解を踏まえ、顧客にどんな価値を提供するのかを明確にします。
「顧客が望んでいる」「自社が提供できる」「競合が提供していない」この3つが交わるポイントを探すことで、「勝ち筋」となる事業コンセプトを言語化できます。
最後に市場全体の中で自社の位置づけを可視化します。
縦軸・横軸に顧客が重視する指標(価格・利便性・専門性など)を置き、自社と競合をマッピングすると、競合が手をつけていない「すき間」や新しい顧客層を発見できます。
新規事業の「狙い目」は、偶然に見つかるものではありません。顧客ニーズや競合状況、自社の強み、市場の変化といった複数の要素を整理し、情報を集めながら仮説と検証を積み重ねていくことで少しずつ見えてきます。
ただし、どれだけ入念にリサーチや分析を行っても新規事業には不確実性がつきまといます。明確な「正解」が存在しないからこそ、成功と失敗のプロセスを繰り返し、その中で得た知見を組織に蓄積していくことが成功確率を高めるカギになります。
もし社内に十分なノウハウや経験を持った人材がいない場合は、外部の専門家やコンサルタントを活用することも有効です。
引用元:dotD公式HP(https://dotd-inc.com/ja)
新規事業に成功の型はありません。それでも、新規事業のノウハウや経験値があれば、その確率は変わるはずです。dotDは2018年の創業からわずか5年で、50件以上の新規事業の創出に関わっています。
マーケット調査にこだわっており、ユーザーの生の声を徹底分析。そのうえでKPI管理や進捗可視化、ピボット判断など、躓きやすいポイントを網羅的にカバーし、適切なプロセスを組み立てて伴走してくれます。
新規事業づくりの経験から多くの企業が苦戦する要素を導き出し、その要素である「新規事業のプロセス化」「KPI管理」「経営資源の最適化」を実現するための「dotHatch」というプロダクトも開発したほどに、新規事業の「経験値」が高い会社です。